標準より大きい有効径でめねじを加工したい場合に使用するのが、オーバサイズのタップである
オーバサイズのタップが必要になるのはどんな場合か
- おねじを組み付けた際にきつく感じる場合
- めねじ加工後にめっきを施し、膜厚分の寸法変化を見込む必要がある場合
- めねじ加工後の熱処理によるひずみ対策として、大きめのねじが求められる場合
オーバサイズとは何を意味しているのか
- 標準精度のタップよりも、有効径が大きく設定されたタップを指す。
- JIS規格では「オーバーサイズ」ではなく「オーバサイズ」と表記されている。
カタログ上でオーバサイズはどのように表示されているか
- タップの精度表記で「STD」はスタンダードを意味し、2級・6Hめねじ相当の推奨精度である。
- STD+1、STD+2と記載されているものは、STDより有効径が大きいオーバサイズタップとなる。
- STDは、タップの呼びや種類ごとに設定されている。

切削タップではオーバサイズ量はどう決まるか
- 切削タップでは、ピッチによって+1のオーバサイズ量が異なる。
- +1ごとに、P0.6以下では0.015mm、P0.7以上では0.02mm、タップの有効径が大きくなる。
- 一般用スパイラルタップEX-SFT M10X1.5の場合、STDがOH3、STD+1はOH4。この時、OH4はOH3より有効径が0.02mm大きくなり、OH5はOH3より0.04mm大きくなる。
- タップ現品にはOH4といったOH精度の表示のみであり、STD+1などの表記はない。
転造タップのオーバサイズの考え方
- 転造タップのオーバサイズ量は、+1ごとに0.0127mmである。
- ピッチによるオーバサイズ量の違いはない。
- STDがRH7の場合、STD+1はRH8となり、有効径が0.0127mm大きくなる。
オーバサイズ選定時の実務的な留意点
- 必要なオーバサイズ量は、使用条件や要望によって異なる。
- STD+1、STD+2程度であれば、2級相当のねじ精度を狙いつつ大きめのねじ加工が可能である。
- タップの用途や種類によって、同じ呼びサイズでもSTDのOH精度は異なるため注意が必要。
- 例えば、M10X1.5の場合、一般用スパイラルタップEX-SFTのSTDはOH3、鋳鉄用ハンドタップEX-FC-HTではOH4、樹脂用ハンドタップEX-PLA-HTではOH5である。これは、工具摩耗しやすい鋳鉄や、縮小傾向にある樹脂の特性に合わせて、一般用タップよりも大きなOH精度をSTDとして設定しているため。

めねじにめっきを施す場合の考慮点
- めっき後の膜厚が決まっている場合、必要なオーバサイズ量は事前に検討する必要がある。
・ めねじにめっきを施す場合、タップはどれくらいのオーバサイズを使えばよい?
▽参考資料: オーバサイズタップ用ゲージ