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  • 公開日時 : 2024/05/29 11:28
  • 更新日時 : 2026/05/22 17:39
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スレッドミルとはどんな工具?基礎から活用方法までをご紹介します。

スレッドミルとは
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回答

スレッドミルは、ねじ加工における課題に対応できる有効な手段です。本記事では、その活用によりお持ちのマシニングセンタでのねじ加工の対応範囲を広げる方法を解説しています。必要な項目のみを参照することも、順に読み進めて全体像を把握することも可能です。

 
 

1:はじめに

本記事では、マシニングセンタでのタップ加工において、加工時の負荷が大きく機械が停止してしまう場合や、指定のオーバサイズのタップが用意できない場合など、タップのみでは対応が難しい課題に対し、有効な手段となるスレッドミルによるねじ加工方法を紹介します。
スレッドミルは、こうしたねじ加工の課題に対応できる加工手段の一つであり、その活用により、お持ちのマシニングセンタで対応できるねじ加工の範囲を広げることができます。

2:スレッドミルとは

2.1 スレッドミルの仕組み

スレッドミルとは、「ねじ」加工を行う工具の1つです。 あらかじめあけた下穴に、工具(=スレッドミル)が回転しながら、らせんの動きで移動し、ねじを切削していきます。 その動きを行うマシニングセンタ等の機械には、ヘリカル補間機能(三軸同時制御)が必要です。

スレッドミルの中には、下穴加工とねじ加工を同時に行う種類もあります。例:AT-2シリーズ

 

2.2 スレッドミルの種類

スレッドミルには、工具全体が超硬あるいはハイス製のソリッドタイプとインサート(チップ)を付け替えるインデキサブルタイプがあります。

ソリッドタイプ

小径からのサイズラインナップが豊富で、刃数が多く能率的です。また、小径用や高硬度鋼用、非鉄用等、用途別の種類が豊富です。

インデキサブルタイプ

ホルダ剛性が高く、大きなねじサイズや大きなピッチを加工する際に有利です。また、インサートを付け替えることで他のねじの種類や他サイズに対応することもできます。インデキサブルタイプのホルダには、マルチポイントとシングルポイントがあります。

インデキサブルタイプ-マルチポイント

複数のねじ山がついたインサートで一度に数山のねじが加工できるため、短時間で加工できます。

インデキサブルタイプ-シングルポイント

三角形のインサートで1山ずつ加工していくため、負荷が少なく加工できます。その為、ねじ長さや突出しが長い加工や大きなピッチでの加工に有利です。

 

※ソリッドタイプの一部シリーズやサイズで再研磨不可なものもあります。

ソリッドタイプのスレッドミルのおすすめラインナップ

3:スレッドミルの使い方

スレッドミルによるねじ加工は、以下の手順で準備を行います。

3.1 下穴加工

スレッドミルの加工には、タップと同様に下穴が必要です。下穴径は切削タップの下穴径と同じ範囲で設定します。なお、下穴深さ(止り穴の場合)は、「有効ねじ長さ+1.5ピッチ分」以上を目安に確保してください。
 
ドリルの選定は、下記リンクより手順を参照できます。

▽参考FAQ: スレッドミルの下穴加工用ドリルの選定

3.2 スレッドミルの選定

スレッドミルの選定では、加工するねじ仕様に対して適合するかどうかを確認する必要があります。

  1. ねじのピッチがあっているか
  2. 刃長(首下長)は足りているか(刃長(首下長)-約2ピッチが目安)
  3. 加工したい被削材に対応しているか

オーエスジーのスレッドミル用プログラム作成アプリThreadPro(スレッドプロ)を使えば、加工したいねじの情報を入力することで、使用可能な工具が表示されます。まず、「1」と「2」を満たす工具が候補として表示され、被削材を選択する画面で対応の可否が確認できます。その被削材に対応してない工具の場合はメッセージが表示されます。

▽NCプログラムソフト: スレッドミル用プログラム作成アプリThreadPro(スレッドプロ)

各スレッドミルの被削材への対応はカタログをご確認いただくか、オーエスジーHPの製品検索にて参照可能です。

▽製品検索: スレッドミル

▽カタログ: スレッドミル

スレッドミルをカタログから選定する手順

加工したいねじ形状ごとに選定手順を紹介します。

※メートルねじやユニファイねじではめねじとおねじの形が異なるため、工具(インサート)の共用ができません。管用ねじはおねじとめねじで工具の共用が可能です。

3.3 スレッドミルの加工プログラムの準備

加工プログラムの作成には、スレッドミル用プログラム作成アプリThreadPro(スレッドプロ)のご利用をおすすめします。加工するねじサイズやねじ長さをもとに工具を選定できるほか、加工内容や機械情報を入力することで、簡単にプログラムを作成することができます。
また、ThreadPro(スレッドプロ)では、後からねじの仕上がり調整を行いやすいよう、工具径補正値を利用したプログラムの作成が可能です。工具径補正値は、作成したプログラム内にRPRG(工具半径補正値の目安)として記載されています。機械へ入力する際は、プログラムだけでなく、この工具径補正値も忘れずに入力してください。

 
▽(スレッドプロ)使い方動画 基本編

 

3.4 図面指示のねじ精度を検査するゲージの準備

加工したねじが図面で指示されたねじ精度を満たしているかどうかを判定するために、ねじゲージを使用します。下記より、ゲージの選定方法をご確認いただけます。

 

3.5 ゲージが合格しない場合に行うスレッドミル加工の調整

スレッドミルは片持ち工具であるため、加工中のびびりやたわみにより、ねじゲージ検査で不合格となる場合があります。その場合は、工具の動き(軌跡)を調整して仕上がり寸法を合わせる必要があります。
スレッドミル用プログラム作成アプリThreadPro(スレッドプロ)で「刃先基準」を選択してプログラムを作成すると、工具径補正値を変更するだけでプログラムを修正することなく仕上がりの調整が可能です。また、選択したねじ精度に対してゲージ合格を狙うための工具半径補正値(参考値)であるRPRGが表示されるため、これを活用することで調整回数を抑えることができます。
それでも合格しない場合は、工具径補正値を0.02~0.03ずつ段階的に変更しながら、ねじゲージで確認して調整してください。


※ソリッドタイプ(めねじ用)の一部では、現品に最小加工径(ねじ精度5H)に対応するRPRGが表示されています。最小加工径より大きいサイズや異なるねじ精度を加工する場合は、スレッドプロに表示されるRPRGの値を径補正値としてご使用ください。

 

 

工具径補正値を調整する際は、ワークや工具を機械から取り外さないようご注意ください。取り外してしまうと位置がずれ、工具径補正の調整結果を正しく判断できなくなるためです。

めねじの場合

通り側プラグゲージが止まる場合(めねじの仕上がりが小さい場合)は、工具径補正値を小さくすることで、工具の円弧軌跡が大きく移動し、より大きいねじ径に調整できます。
止り側プラグゲージが通る場合(めねじの仕上がりが大きい場合)は、工具径補正値を大きくすることで、工具の円弧軌跡が小さく移動し、より小さいねじ径に調整できます。

おねじの場合

通り側リングゲージが止まる場合(おねじの仕上がりが大きい場合)は、工具径補正値を小さくすることで、工具の円弧軌跡が小さく移動し、小さめのおねじに調整できます。
止り側リングゲージが通る場合(おねじの仕上がりが小さい場合)は、工具径補正値を大きくすることで、工具の円弧軌跡が大きく移動し、大きめのおねじに調整できます。

4: スレッドミルのメリット

4.1 1本で他のねじサイズ・ねじ精度も加工できる

タップはねじサイズやねじ精度ごとに複数本の工具が必要となりますが、スレッドミルは工具の動き(パス)を調整することで、同一工具で右ねじ・左ねじの加工が可能です。また、ピッチが同一であれば他サイズのねじにも対応できます。
さらに、工具の動きを微調整することで、1本のスレッドミルで1級・2級・3級相当のねじ精度に加え、ねじインサート(コイル)用のインサートねじや、めっきの膜厚に応じたオーバサイズねじの加工にも対応可能です。

 

4.2 低負荷で加工できる

大径ねじを加工する場合、加工機の主軸トルク不足により、加工中に主軸が停止することがあります。これは、加工機が一定以上のトルクを検知すると安全のために動作を停止する仕様によるものです。そのため、機械を停止させずに加工するには、より低いトルクでの加工が求められますが、タップの種類だけでは対応が難しい場合があります。
スレッドミルは下穴の内側面を切削する加工方式であるため、タップ加工と比較して低トルクでの加工が可能です。この特長により、小型マシニングセンタでは対応が難しい大径ねじや、高負荷になりやすい被削材のねじ加工にも対応でき、使用する機械の加工範囲を広げることができます。

 

4.3 切りくずが詰まりにくい

スパイラルタップでの加工では、発生した切りくずは下穴とタップの溝の狭い空間を通って排出されます。そのため、切りくずの排出が滞ると噛み込みや詰まりが発生し、折損につながる恐れがあります。
一方、スレッドミルで発生する切りくずはコンパクトで排出しやすい形状になります。また、下穴と工具との間に十分なクリアランスがあるため、切りくずをスムーズに排出でき、安定した加工を行いやすいのが特長です。

 

4.4 管用テーパねじ加工のストップマーク発生を抑制

管用テーパねじをタップで加工すると、加工後にストップマークと呼ばれる加工跡が残る場合があります。この跡の程度によっては、ねじで接続された配管内の気体や液体が漏れる原因となることがあります。
一方、スレッドミルによるテーパねじ加工は、工具を逆転しないためストップマークが発生しません。また、タップ加工では完全ねじ部でも切削が続くため負荷が高くなりやすいのに対し、スレッドミルは比較的低負荷で加工できるため、加工中の不安定さを抑えやすく、真円度の良い安定したねじ形状に仕上げることができます。

 

4.5 下穴余裕の少ない止り穴のねじ加工に有利

スレッドミルには、タップの食付き部に相当する部分がないため(※一部例外あり:AT-2シリーズなど)、不完全ねじ部を最小限の長さで加工できます。そのため、下穴深さに制約がある止り穴においても、有効ねじ長さをできるだけ長く確保したい場合に有利です。
また、下穴加工にフラットドリルを使用することで、スレッドミルとの組み合わせにより、止り穴でもさらに有効ねじ長さを長く確保することが可能です。

 

5:スレッドミルのデメリット

5.1 タップに比べ加工時間が長い

スレッドミルによるねじ加工は、タップ加工と比較して加工時間が長くなる傾向があります。タップ加工が正転・逆転を伴う直線的な動きで加工を行うのに対し、スレッドミルでは複数の工程動作を組み合わせて加工を行うためです。
スレッドミルによるめねじ加工(ThreadProで作成したプログラム)では、下穴の口元中心をR点として、次のような動作で加工を行います。

  1. 下穴の口元中心からZ+5mm位置より所定の深さまで移動
  2. クリアランスを確保しながら早送りで接近
  3. アプローチ(ヘリカル切削を行いながら切り込む)
  4. 本切削(360°のヘリカル切削)
  5. リリース(ヘリカル運動を行いながら切り離す)
  6. 中心位置まで早送りで戻る

 

また、ねじ長さや加工内容によっては、径方向または軸方向に複数回に分けて加工する必要があり、その分、加工時間が長くなる傾向があります。
一方で、近年のスレッドミルは、加工負荷の分散や工具剛性を高めた仕様の採用により、高能率条件かつ少ない加工回数でねじを完成できるようになってきています。そのため、加工時間はタップ加工に近づきつつあります。

5.2 詳細なプログラムが必要

スレッドミルの加工は、円弧方向の移動と軸方向の移動を組み合わせて行います。さらに、ねじ精度を工具の動きで調整するため、詳細な座標計算が必要になります。
オーエスジーのスレッドミル用プログラム作成アプリThreadPro(スレッドプロ)では、ねじの加工内容を入力することで、これらの計算を自動で行い、その結果から加工プログラムを作成できます。そのため、スレッドミルによるねじ加工の準備にかかる時間を大幅に削減することが可能です。

5.3 工具の摩耗により工具径補正の再調整が必要になる

スレッドミルは加工を続けることで摩耗し、工具径が徐々に小さくなります。そのため、同じ軌跡で加工を行うと、めねじでは仕上がりが小さくなり、おねじでは仕上がりが大きくなる傾向があります。このため、摩耗量に応じて工具径補正値を定期的に調整する必要があります。
また、ソリッドタイプを再研磨した場合にも、加工寸法が変化するため、再度ゲージ合格に向けた工具径補正値の調整が必要です。
工具径補正の調整作業を効率よく行うには、スレッドミル用径補正ツールDCTの使用が有効です。DCTは加工後のねじ口元の有効径を簡易的に測定でき、ゲージ合格までに必要な補正量を把握しやすくすることで、調整作業を簡単かつ迅速に行うことができます。

 

6:よくある質問

※下記以外にも多くのQ&Aがあります。オーエスジーの加工相談Naviをぜひご利用ください。

▽参考FAQ:スレッドミルのよくあるQ&A

6.1 従来JIS2級のねじの加工

6.2 ねじゲージで合格を狙いたい。工具径補正値の調整手順とは?

6.3 60HRC程度の高硬度鋼へのねじ加工

6.4 オーバサイズのねじ加工

6.5 短ねじより短いテーパねじ加工

6.6 インサートねじの加工

6.7 左ねじの加工

6.8 底当たりしないよう加工深さを確認したい

 

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