増径タップとは、加工する材料や形状に応じて使用本数は異なるものの、ねじの径が徐々に大きくなるよう設計された複数本セットのタップを指します。これらは標準品ではなく、目的や条件に合わせた特殊品として対応します。
増径タップは、はめあい長さの長いねじや、難削材へのねじ立てに使用されます。ねじ部の径や食付き部の長さが異なる2本から3本のタップを組み合わせて加工する方法が一般的で、高精度かつ仕上げ面の良いねじを得ることができます。作業条件によっては、1本のタップで径を段階的に増やす場合もあります。
タップ加工時にトルク負荷が大きく、加工が困難な場合には、負荷を低減する方法が採られます。一つは、食付き部の長さが異なるタップを順に使用する方法です。例えば、ハンドタップの1番(食付き部9山)、2番(5山)、3番(1.5山)の順で加工することで、段階的にねじ立てを行います。
もう一つの方法として、目的とするねじの呼び径よりも意図的に小さい径のタップを別途製作し、先行して加工を行う方法があります。その後、目的の呼び径のタップで仕上げることで、最終工程での径方向の切削量を減らし、トルク負荷を抑えることができます。増径タップは、この考え方に基づき、径方向の切削量を分散させることを目的としたタップです。
特にトルク負荷が大きくなりやすい台形ねじ加工では、増径タップを用いた加工方法が多く採用されています。