管用テーパタップの加工条件で必要なのは、次の3つです。
・ 回転速度(min-1)
・ 送り速度(mm/min)
・ タップの加工深さ(mm)
上記の3つを求める為に、以下の4つの数字をねじの呼びやカタログなどから参照します。
① タップの工具径
② ねじのピッチ
③ 切削速度
④ タップの基準径位置(そのタップでどれくらいの深さを加工するか)
手順1
まず、①~③から回転速度と送り速度を求めます。
① 工具径
テーパ(円すい状)のねじの条件算出には「基準径」における直径を用います。ただし、ユニファイねじのようにインチ表記から計算でミリ換算することはできません。
例:PT1/4-19の場合
管用ねじタップPT(Rc)1/4-19 の工具径は、φ13.157として計算に用います。PS(Rp)も同様です。ユニファイでは、1/4の工具径は、25.4÷4=6.35となりますが、管用ねじとは異なる為、注意が必要です。
※NPTやNPTFなどのアメリカ管用ねじでは、工具径がまた異なります。
② ピッチ
呼び径ごとに決められている「山数」を用いてピッチ換算します。山数とは1インチ間にいくつねじ山が収まっているかを表します。1インチ = 25.4mmなので、ピッチ換算するには、25.4 ÷ 山数で算出できます。
PT1/4-19の場合 25.4 ÷ 19 = 1.3368mm
こちらを管用タップの1回転当たりの送り量(mm/rev)として用います。
③ 切削速度
例:S25Cなどの中炭素鋼の場合、条件範囲は3~6m/minとなります。
まずは、範囲の下目から様子を見る場合に切削速度3m/minで行う際、以下の回転速度と送り速度が算出できます。PT1/4-19は、①と②から、工具径をφ13.157。ピッチを1.3368mmを用います。
上記の情報から、機械加工に必要な回転速度と、送り速度を計算します。
回転速度(min-1)
=1000×切削速度(m/min)÷3.14÷工具径
=1000×3÷3.14÷13.157=72.62≒ 70(min-1)
送り速度(mm/min)
=回転速度(min-1)×1回転当たりの送り量(mm/rev)
=70(min-1)×1.3368(mm)=93.5760 ≒ 94(mm/min)
タップ加工には1回転1ピッチ進む動きが必要です。送り速度の数字を大きく丸めてしまうと加工誤差につながります。設備環境によっては小数点以下を四捨五入し、整数にて考えて頂ければと思います。
手順2
どれくらいの深さを加工するのかを決めます。
④基準径位置
管用テーパねじの加工には、タップの加工深さを設定する必要があります。基準径位置とは、タップ端面(下穴端面)から何ミリ加工すれば(タップをさげれば)よいかの目安となる値です。従って、図面指示のねじ長さによっては、タップも長ねじ形か短ねじ形か、もしくはもっと短いねじ長さで加工する為にスレッドミルや特殊品タップを用いるかを検討します。
PT(Rc)1/4-19 一般用管用テーパタップ TPT 長ねじ形の場合
基準径位置の目安は、21mmとなります。
PT(Rc)1/4-19 一般用管用テーパタップ S-TPT 短ねじ形の場合
基準径位置の目安は、12.5mmとなります。
注意点
タップの基準径位置にも公差がございます。そのため、タップを交換した際に、今までと同じ加工深さで行うと管用テーパねじゲージに合格しない可能性があります。新しいテーパタップを使う際には、都度、基準径位置をもとに、まずは浅めに加工し、ゲージが合格するように加工深さを調整をする必要があります。