SUSへのタップ加工で短寿命になる主な原因は下穴の加工硬化によるものです。
下穴の加工硬化がタップ寿命を低下させる
- ステンレス鋼は加工硬化しやすい材質であり、下穴加工で硬化層が生じやすい。
- 加工硬化した下穴にタップ加工を行うと負荷が増大、タップ寿命が短くなる。
- タップ寿命を延ばすには、下穴のドリル加工方法や条件を見直すことが重要。
一般鋼向け汎用超硬ドリルの使用が原因となる理由
- 一般鋼向けの汎用超硬ドリルはステンレス鋼に対して切れ味が不足している。
- 超硬ドリルの高速回転条件により、ステンレス鋼の加工硬化を助長してしまう。
- 内部給油式のステンレス用超硬ドリルや、切れ味の鋭いステンレス用ハイスドリルを使用することが望ましい。
- 例として、ADO-SUS-3D・ADO-SUS-5D、NEXUS-GDS・EX-SUS-GDS・EX-SUS-GDR などが挙げられる。
・ 内部給油のステンレス用超硬ドリルADO-SUSシリーズ
ステップ過多が加工硬化を招く理由
- ステンレス鋼は擦られることで分子配列が変化し、加工硬化が起こりやすい材質である。
- 切りくず排出のためのステップ加工を細かくし過ぎると、穴壁を何度も擦り加工硬化を進行させてしまう。
- ステップ量の目安はドリル径の0.5倍程度とし、深い穴や小径では0.25倍から様子を見る。
送り量不足が加工硬化を進める理由
- 1回転あたりの送り量が極端に低いと、1穴あたりの回転数が増え、ドリルが穴壁を多く擦る。
- 擦れが増えることで加工硬化が進行し、その後のタップ加工に悪影響を及ぼす。
- 送り量の目安は、内部給油式ステンレス用超硬ドリルではドリル径の2~3%、ステンレス用ハイスドリルでは1.5~2%程度。
- サイズや被削材種により条件範囲は異なるため、製品ごとの切削条件表を確認することが重要。
下穴径が小さく仕上がることによる影響
- 再研磨したドリルは新品時より径が小さくなりやすい。
- 超硬ドリルはハイスドリルに比べ穴の拡大代が少なく、同じ径でも小さめに仕上がる傾向がある。
- タップ寿命を延ばすには、規格内で内径最大値を狙った下穴径を設定することが有効。
- ドリル径だけでなく、下穴加工後の実測値を確認し、適正な下穴径になっているかを確認することが重要。