JIS規格における従来JISとISOのねじ精度、ねじとねじゲージ、おねじとめねじ、それぞれの有効径の位置関係を下図に表します。
位置関係からわかること① ねじ精度ごとの位置と範囲
めねじの(6H・2級)、おねじの(6g・2級)では、ねじの有効径の位置・範囲がそれぞれ異なります。その為、図面指示2級のねじ精度を検査する場合には6Hのねじゲージを使用することはできません。また、6Hの図面指示ねじ精度を検査する場合、2級のねじの公差が6Hの中にあったとしても、規格にあるゲージの使用方法上、2級のゲージを使用することはできません。図面指示である6Hのゲージを使用する必要があります。
位置関係からわかること② リングゲージにプラグゲージは入らない
それぞれの径を比べると、リングゲージの方が小さく、プラグゲージの方が大きいことがわかります。つまり、小さいめねじに大きいおねじは入らない=リングゲージにプラグゲージは入らないという関係となります。もし、入ってしまった場合は、プラグゲージが摩耗して径小になっているか、リングゲージが摩耗して径大になっていることが疑われます。ゲージとしての役割を満たせない可能性がある為、そのゲージの使用をただちに停止し、校正をご検討ください。
位置関係からわかること③ 従来JISの止り側は検査用より工作用を使う方が合格範囲が狭い
ねじ用限界ゲージは、通り側が通って止り側が止まることで合格となります。止り側には検査用と工作用の区別があり、一般的に加工する側は工作用を使用します。検査用は社外へ加工を依頼した際の受入検査で使用されます。そうすることで、基本的に工作用で合格したワークは検査用でも合格するというスムーズさが得られるためです。なお、ISOでは止り側に検査用と工作用の区別はありません。
製造業者側と使用者側でねじゲージの判定の不一致が生じた場合の取り扱いについてはJISハンドブック、または、下記リンクの日本産業標準調査会(JISC)のウェブサイトをご参照下さい。
JIS規格番号やJIS規格名称、規格に使用されている単語より検索することができます。
JIS B 0251 メートルねじ用限界ゲージ
ねじゲージ による合否の判定の不一致の取り扱い(ゲージによる検査原則)
(JISC 日本産業標準調査会ウェブサイト)
・ 1級と2級_5Hと6Hのねじ精度位置関係(M10×1.5)