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  • No : 8986
  • 公開日時 : 2021/04/27 11:16
  • 更新日時 : 2021/04/27 11:19
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被削材の性質からの工具選定例

被削材の性質からの工具選定の一例を紹介します。
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回答

オーエスジーのカタログでは、各工具ごとで対応被削材の表記や、
非鉄用、SUS用、チタン合金用等、用途や被削材に狙いをつけた表示となっております。
 
しかし、被削材の種類によって「硬度」と「じん性」等の性質が異なるものもあります。
その場合、あえて近しい性質向けの別の用途向け工具を選定する場合があります。
 
また、加工を行う際にその被削材がどんな性質か(どんな状況か)を確認する事が必要です。
特に調質を行う被削材は、調質方法、大きさなどにより性質が異なる場合があります。
最低限でも硬度を確認の上、工具選定を行う事をおすすめ致します。
 
 
例1
ニッケル基耐熱合金のハステロイC276(18HRC程度)のタップ加工
ニッケル基超耐熱合金用のNI-SFTでなく、EX-SUS-SFTを選定する。
ニッケル合金だから「NIがつく用途別工具」が適しているわけではなく、硬さに応じた選定が適します。
 
例2
ベリリウム銅(40HRC)のドリル加工
ドリルの場合:EXーSUS-GDSでなく、VPH-GDSを選定する。
銅とあるので非鉄・銅合金向けの工具ではなく、40HRCという硬度に対応した選定が適する。
 
例3
調質後の材料(50~52HRC)のドリル加工(油穴付き)
50HRCに対応した超硬ドリルWHO55-5Dを選定する。
高硬度向けの工具は、適応硬さの範囲も狭いです。その硬度の適応範囲に入った工具選定が適します。
 
例4
調質前のSKD(30HRC以下)のタップ加工
タップの場合:30HRCまでの硬さに対応するAーSFTを選定する。
カタログの対応被削材欄の表記だけでなく、ユーザの状況によって変わる硬度も考慮した選定が適します。
※調質後で50HRC程となった被削材には、A-SFTは適しません。
 
例5
調質前のSKD61を油穴無しの超硬ドリルで加工
SKDは生材の状態での硬さは極端に高い硬度でない(30HRC以下)ですが、
ねばさもあり加工時に負荷がかかる材質です。
切りくず排出も考慮した選定が適します。
特に超硬で製作されたドリルは欠けやすいという性質も持ちます。
油穴無しのドリルの場合、切りくずの滞留が負荷増につながる為、
意図的に先端強度をもつWH55-5Dを選定する場合があります。
油穴無しのハイスドリルのEXーGDSは、
母材にじん性を持ち、切れ味があっても欠けにくい為、この場合に適します。

 

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